アナタに伝えたい～阪神淡路大震災21年～

21年前の今日、淡路島を震源として起こった阪神・淡路大震災。今の20代の方は殆ど覚えていないだろうと思う。当時私は14歳の中学2年生。あの日あったことを覚えている。あの日あったことを体験している。だから私の伝えられる範囲で伝えていく。それが私に出来る唯一のことだから。

でも自分は被災者じゃない。少なくとも私の周囲は1週間も経たないうちに元通りになった。誰も傷つかなかった。そんな私が「被災者」だなんてとても言えない。だから私は自分のことを「震災体験者」だと思っている。

あの日、一度眠ると滅多に起きない私は縦揺れの時はまだ夢の中にいた。それを起こしたのは普段大声をあげない母の悲鳴。驚いて跳ね起きた瞬間、横に激しく揺られた私はベッドの柵にしがみついた。当時私は軽い摂食障害で、体重が「痩せすぎ」レベルだったので、もしあの時手を離していたら多分投げ出されたと思う。でも、それでも、怪我はしなかったと思う。

何故なら、私の住んでいる場所は震源地の真向かいであっても、活断層が走っていた場所ではなかったから。活断層は東へ走り、神戸近辺に甚大なダメージを与えた。もちろん私の住んでいる地域もライフラインが寸断されたりもしたが、それも2時間経てばほぼほぼ復旧していた。ライフラインが次々と復旧して、電気が復旧してテレビがついた時は本当にショックだった。お小遣いを貯めて時々遊びに行っていた神戸の街が燃えていた。世界が滅ぶんじゃないかと、本当に思った。

この時はまだ三馬鹿も入所していなかったから、エイトのメンバーも全員が震災を体験している。ヨコは昨年の震災特番でＭＣを務めたため覚えている方も多いと思う。しかしもっとも強い震度を体験しているのは活断層に近かった尼崎出身の章ちゃんだ。公式記録では震度6強（7とも言われている）、以前「ありえへん～」で涙ながらに当時のことを語っていたことを思い出す。私の住んでいる地域の震度も記録では尼崎と同じで、それは後年思わぬ形で私の中に大きく傷跡を残していたことがわかった。

大震災の中でも大きな揺れを食らった私の住んでいる地域はすぐにライフラインが復旧したため（それでも11人亡くなられている）、私も翌日から中学校に通い出した。しばらくは余震に怯える日々が続いたけれど、その意識も徐々に薄れ、このあたりよりももっと甚大な被害を受けた神戸（地域名をあげていったらキリがないいのでまとめます）が早く元に戻りますように、と祈る日々だった。

そして神戸は見事に復旧し、私も大人になり、10年以上の歳月が流れた。

あれは体調を崩して休んでいた時だと思う。TVを見ていると、スタジオが揺れている。続いて速報が次々と入ってくる。範囲が阪神の比ではないほどに広い、その上津波。それから福島原発の爆発。明らかに阪神よりも大きい被災地域や津波を見ていて、「どうなるんだ…」と家族で話したことを覚えている。

それから何度も流れる地震、津波の映像をTVで見ているうちに、体調に異変が起こるようになった。頭痛、吐き気、目眩…実際の映像以外にも、再現映像でも起こるようになった。摂食障害の頃かかっていた心療内科の先生に相談した。PTSDだった。あれからもう10年以上経っているのに。あの時のショックが、こんな時間を経て出てくるとは思ってもみなかった。前述の通り、再現映像でも症状を引き起こしてしまうため、大倉くん主演の「Dr.DMAT」終盤も物語が見たいのに、鈍い頭痛が襲ってきているという状態で見ていた。

この傷はきっと消えない。私も知らないうちについていた、決して浅くはない傷。忘れられたら楽だと思う。でも忘れることは出来ない。どんな形であれ、伝えていきたいと思っているから。

東日本大震災の傷は阪神大震災に比べると遥かに甚大で、復旧には神戸とは比にならない歳月がかかると思う。そして原発問題もある。「鉄腕DASH」で私たちが慣れ親しんだ浪江町も帰還困難区域に指定され、三瓶明雄さんの遺骨も未だ奥様（DASH村企画開始の少し後にお亡くなりになられている）の眠るお墓に納められていないと聞く。

東北の復興は、神戸よりも遥かに長い年月を要するだろう。

でもどうか、希望を捨てないで欲しい。

長い時間を要するだろうけれど、いつかきっと東北も蘇る。

傷ついた神戸が、蘇ったように。

明けない夜がないように。

咲かない花がないように。

阪神大震災から今日で21年。

あの日を体験したアナタに、あの日を知らないアナタに、

いつか必ず花は咲くのだと、伝えたい。